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加熱式タバコって、本当に体にやさしい?

  • 11 分前
  • 読了時間: 3分

こんにちは。副院長の遠藤翔太です。


今回は「加熱式タバコ」のお話です。

診察室でも時々、「紙のタバコより加熱式の方が体にいいんですよね?」と聞かれます。
たしかに、加熱式タバコはタバコ葉を直接燃やすわけではないため、従来の紙巻タバコより少なくなる有害物質があります。

タバコメーカーなどでは「有害物質を約90%カット」として、宣伝がなされていた時期もあったように思います。

実際には、90%ちかくカットされている有害物質もあれば、あまりカットされていない有害物資もあり、はたまた加熱式タバコにしかない(紙タバコにはなかった)有害物質もあるなどあり、「有害物質を約90%カット」とはいえないのが実情かと思います。


ですが、ここでは、思考実験として、、、、
もしもかりに有害物質が90%減っていたとして、病気も90%減るのか?

について記載したいと思います。


結論、残念ながら、話はそう単純ではありません。

例えば心臓病。有名な研究があります。紙巻タバコを1日20本吸う男性では、吸わない人と比べて心臓病のリスクは約2倍です。では、本数を20分の1の「1日1本」にしたら? リスクも20分の1になりそうですが、実際には約1.5倍。本数を大幅に減らしても、リスクは意外なほど残ります。

話を加熱式タバコに戻します。


体内に取り込まれた有害物質を調べた研究では、大まかには、
吸わない人 < 電子タバコ < 加熱式タバコ < 紙巻タバコ
という順番になっていることが示されています。

ここでいう電子タバコとは、国内ではほぼ流通していない液体リキッドにニコチンが溶かされたもののようです。燃焼がないので、有害物質の量が低減されています。


この前提を踏まえたうえで2026年に韓国の約452万人を対象にした研究結果をみると、学びがあります。

その研究では、紙巻タバコを完全にやめた人を「1」とすると、禁煙後に電子タバコへ移行した人の肺がん発症は1.56倍、肺がん死亡は2.00倍でした。一方、紙巻タバコを吸い続けた人では、それぞれ1.78倍、2.41倍でした。

これは電子タバコの研究なので、加熱式タバコのリスクを直接示したものではありません。しかし、有害物質への曝露が「電子タバコ<加熱式<紙巻タバコ」であることから、仮に肺がんリスクもその間に位置すると仮定すると、加熱式タバコの場合には、発症が1.56~1.78倍、死亡が2.00~2.41倍の間ということになります。

あくまで推測ではありますが、こうして見ると「紙巻タバコより少しマシかもしれない」という程度であり、「病気も9割カット」からは、ずいぶん遠そうです。

もう一つ知っていただきたいのが、周りの人への影響です。加熱式タバコを吸った人の口元から30cmでは、PM2.5が一時的に約2,000μg/m³に達したという報告があります。日本のPM2.5の環境基準は、1日平均35μg/m³以下。測定条件が違うため単純比較はできませんが、2,000という数字が、環境中のPM2.5と比べると、とても高いことは分かります。

そして、吸い終わった後も呼気からタバコ由来の物質が排出され、加熱式では約25分間続くと報告されています。

せっかく健康のことを考えて加熱式に変えた(る)のであれば、そこをゴールにせず、次は「タバコそのものをやめる」ところまで進んでみませんか? 当院でも禁煙外来を開設しておりますので、お気軽にご相談ください。
 
 
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