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よくある疾患「高血圧症」について②

  • 4 日前
  • 読了時間: 4分


こんにちは!院長の遠藤です。

よくある疾患について紹介するコーナーです。

第2回目は、「高血圧症」の薬についてのお話しです。

院長コラム:なぜその「血圧の薬」が選ばれたのか? —降圧薬の使い分けの裏側

こんにちは。院長の遠藤です。 日々の診療の中で、高血圧症の治療を続けている患者さんから「隣の友人は違う薬を飲んでいるけれど、どうして私はこの薬なの?」といった質問もいただきます。

現在たくさんの種類の降圧薬(血圧を下げる薬)が存在します。降圧薬を選ぶときは、「血圧が高いから下げる」だけでなく、患者さんの年齢、生活習慣、他に抱えている病気、そして患者さんの価値観も含め考慮して選んでいます。


1. 「血圧を下げる」以上の効果も考えながら

降圧薬の最大の目的は、将来の脳卒中や心筋梗塞を防いで健康寿命をのばすことですが、患者さんが持っている病気に合わせ、プラスアルファの効果も考慮して選びます。

例えば、以下のような使い分けを行っています。

  • ARB/ACE阻害薬(商品名がレニベースやブロプレス、オルメテックなど)というグループ:これらの薬は、腎臓を守る力が非常に強いのが特徴です。血圧を下げるのと同時に、腎機能の低下(腎不全への進行)を食い止める「腎保護作用」が期待でき、また臓器保護作用があり心不全の改善効果も報告があります。ですので、蛋白尿がある方や糖尿病、心不全のかたに積極的に選択することがあります。このグループの中にも降圧作用が弱めのものから強いものまであり、患者さんの家庭血圧によって薬を選択します。

  • サクビトリルバルサルタンナトリウム(商品名がエンレスト):上記のグループで降圧が不十分の時に、切り替えて使います。慢性心不全の方に積極的に使われている薬です。

  • カルシウム拮抗薬(商品名がアムロジン、カルブロック、アテレック) 日本で多く処方されているグループで、当院からも初めて降圧薬を内服するかたに処方することが多いです。このグループの中にも、長く緩徐に効くもの、頻脈を起こしにくいものなど特徴があり、患者さんの身体の調子を見ながら薬を選択します。

  • ベータ遮断薬(商品名がアーチストやメインテート):心臓の過剰な働きを抑え、休ませてあげる効果があります。心臓に持病(心不全や頻脈)がある方には積極的に選択します。

  • 利尿薬(商品名がフルイトランやアルダクトン):脚がむくみやすいかたや心臓に持病があるかたに選択することが多いです。

他にも降圧薬のグループはありますが、上記のように患者さんの持っている病気や状態に合わせて選択をしております。ただ血圧を下げるだけではなく、健康に過ごしていくこの先の何年かも見据えながら、一緒にご相談していけたらと思っています。


2. 「合剤」という選択肢:薬の数を減らす工夫

「最近、薬の種類が増えてしまって……」と負担に感じている方も多いはずです。そこで最近主流になっているのが「配合剤(合剤)」です。

これは、作用機序の異なる2種類(あるいは3種類)の成分を、1つの錠剤にまとめたものです。


3. 「薬を飲み始めたら一生終わり」という誤解

診察室で最も多く聞かれるのが、「一度飲み始めたら一生やめられないのではないか」という不安です。

結論から申し上げますと、「薬を卒業できる可能性は十分にあります」。 ただし、それには条件があります。それは、薬に頼らずとも血圧が安定する「体質改善」がなされた時です。

  • 減塩の徹底(1日6g未満が目標です。これは想像以上に厳しい基準ですが、効果は絶大です)

  • 適切な体重管理(数キロの減量で、薬1錠分に相当する降圧効果が出ることもあります)

  • 運動習慣と睡眠の改善

これらが達成され、家庭血圧が安定していれば、積極的に「減薬」や「休薬」を検討します。


4. 家庭血圧の「記録」が重要

診察室で測る血圧は、緊張や歩いて来院した直後の影響で、どうしても高めに出がちです(白衣高血圧)。皆さんがリラックスした状態で測る「家庭血圧」は、薬の種類や量を決めるための最も貴重な情報です。

  • 朝:起きてから1時間以内、トイレを済ませ、朝食や薬を飲む前。

  • 晩:寝る前、座って1~2分安静にしてから。

この2つのタイミングの記録があるだけで、安全に薬を調整できるようになります。「今日は少し高いけど、寝不足やストレスがあった」などといったメモも大歓迎です。記録を持って、ぜひ相談してください。生活のことも含めてお話ししていただき、健康や価値観について想いを共有していける関係でありたいと思っています。



 
 
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