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学生教育について~優秀教員表彰をいただきました~

  • shota-e
  • 2025年12月18日
  • 読了時間: 4分


この度、院長が「福島県立医科大学の優秀教員表彰(令和6年度講義部門)」をいただきました。それに関連して医学教育についての取り組みや研究内容について、少しご紹介させていただきたいと思います。


表彰状と一緒に写真を撮っていただきました
表彰状と一緒に写真を撮っていただきました

(1)総合的に診療をすることができる医師の養成

高齢化と人口減少が急速に進行するなかで、医療と福祉の向上を包括的かつ統合的に支援するために地域包括医療システムの構築が進んでいます。その実現のためには、医療と介護・福祉の多職種が連携し、住まい、医療、介護、予防、生活支援などを包括的かつ継続的に提供する必要があります。その一端をになう医師には、患者さんの病歴以外の社会的背景などを含めて、持続可能なケアを提供できる診療能力が非常に重要です。近年の医学教育モデルコアカリキュラムでも、このような総合的な能力を重視する方向に改訂されています。しかしながら、現在の臨床実習前の座学(講義)での医学教育においては、医学生が多職種との連携、特に医療と社会福祉の連携について学ぶ機会は限られています。


(2)医学部での講義について

上記のような課題点について、医学部4年生を対象に、以下の3点を中心として講義を展開しました。

①「患者中心の医療」と「地域包括ケアシステム」をテーマとする

② 模擬シナリオに基づいたシナリオ学習

③ 介護施設で働いているMedical Social Worker(以下MSW)と共同での講義


 総合的な診療のベースとなる、「患者中心の医療」ならびに「地域包括ケアシステム」は医師国家試験の出題基準にも明記されている用語ですが、概念的な理解が難しいテーマです。そこで臨床現場の臨場感をだしながら学習してもらうために、シナリオ形式での講義を展開しました。高齢の男性とその息子さんが倦怠感(体のだるさ)を主訴に救急外来に受診したというシナリオです。

 講義を受講する医学生は、初期研修医になったと仮定して、問診や身体診察をしていき、入院の必要性を評価しました。シナリオを進めていくと、入院中に疾患が改善しても生活面の課題(社会的孤立や貧困など)が浮かび上がってきて、速やかに退院することが困難であることが明らかとなります。今回退院したとしても、社会的な要因から再度悪化をしてしまい、再入院になることが予見されてしまうケースです。

 そこでMSWがどのように生活状況をアセスメントをして、ケアマネージャー等の介護専門職と連携し、本人の退院後の生活を支援するのかについて学習してもらいました。これらの過程を通じて、医学生は介護支援の重要性や病診連携システムなどの実際について知り、ひいては患者中心の医療の全体像や地域包括ケアシステムの実際について理解を含めてくれました。


(3)医学教育分野での研究

これらの教育実践については医学研究としての発表も行っています。シドニーで開かれたWONCA 2023 World Conferenceでも発表させていただきました。発表後に海外のGP(家庭医)から「自国の教育でも取り組んでみるね」とコメントいただけて、とても嬉しくおもいました。また第56回日本医学教育学会では優秀発表賞をいただきました(参考:福島医大HP)。現在は2本の論文を国際誌に投稿中です。いずれ研究内容についてもご紹介できたらと思います。取り組みの成果についての国内外への発信を通じて、家庭医療や医学教育の分野の発展に少しでも貢献できればと思っています。

 医学部の講義において、医師や看護師以外の専門職が講師をする事例はまだまだ少ないのが現状です。病気の背景にある社会的要因と病気が密接にかかわっていることからすると、様々な専門職の方々が医学教育に関与してくださることを願っています。


(4)よりみちクリニック開院後の学生教育

現在よりみち家庭医療クリニックでは、福島県立医科大学の総合内科・総合診療学講座と連携して、定期的に医学部4年生が臨床実習にきています。暮らしに身近な医療を学んでもらうことで、医師としての総合的な視点を養ってもらえたらと思います。 医学生が来院された皆さんのお話を伺ったりすることもあるかと思いますが、未来の医師の育成にご協力をよろしくお願いします。

 その他にも、院長は家庭医療学分野での講義を、副院長は産業保健分野での実習を、福島医大で担当しています。学生結婚→研修→大学教員/研究者→クリニック開院 とやや物珍しい?経歴のため、大学のキャリアセミナーなどにお声がけいただくこともあります。後進育成については重要事項として、可能な限り取り組んでいきたいと思っています。






 
 
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